ITSMS(ITサービスマネジメントシステム)
適合性評価制度の概要

1.ITSMS適合性評価制度の目的

ITサービスマネジメントシステム(IT Service Management System:以下ITSMSという)適合性評価制度は、国際的に整合性のとれたITサービスマネジメントに対する第三者適合性評価制度である。本制度は、組織におけるITサービス運用管理の品質を継続的に向上させることにより、わが国のITサービス全体の信頼性の向上に貢献することを目的とする。

2. ITSMS適合性評価制度における認証基準

ITSMS認証基準は、JIS Q 20000-1(ISO/IEC 20000-1)である。これは、ITSMS適合性評価制度において、第三者である認証機関(審査登録機関)が本制度の認証を希望する組織の適合性を評価するための基準である。
●JIS Q 20000-1:2012 情報技術-サービスマネジメント-第1部:サービスマネジメントシステム要求事項
(ISO/IEC 20000-1:2011 Information technology - Service management - Part 1:Service management system requirements)

また、JIS Q 20000-1を基礎とするITSMS運用の手引として、JIS Q 20000-2(ISO/IEC 20000-2)が発行されている。
・JIS Q 20000-2:2013 情報技術-サービスマネジメント-第2部:サービスマネジメントシステムの適用の手引
(ISO/IEC 20000-2:2012 Information technology - Service management - Part2:Guidance on the application of service management systems)

3.ITSMS適合性評価制度の運用

ISMS適合性評価制度は、組織が構築したITSMSがJIS Q 20000-1(ISO/IEC 20000-1)に適合しているか審査し登録する「認証機関」、審査員の資格を付与する「要員認証機関」、及びこれら各機関がその業務を行う能力を備えているかをみる「認定機関」からなる総合的な仕組みである。なお、審査員になるために必要な研修を実施する「審査員研修機関」は要員認証機関が承認する。

4.ITSMS構築及び認証取得の必要性

近年では、社会におけるIT活用により、インターネット株式投資の増大や非接触型ICカードによる電子マネーの普及、およびICタグでの製販を通したトレーサビリティの実現など、利用者に大きな利便性の向上をもたらしており、ITサービスが社会基盤としてさらに重要となっている。そのため、ITサービスに対する信頼性が要求され、サービス提供者には、ITサービスの品質を維持・向上する責任が生じている。また、ビジネス環境の変化に即応するビジネス変革を支えるITに対する期待も高まっている。このような背景から、ITSMSを構築・運用および認証を取得することで、以下が期待できる。

<ITSMSを構築し運用することによって得られるもの>
● ITサービスの見える化
  現状を正しく把握し、問題点を特定するための見える化の促進
● コミュニケーション強化
  社内外の関係者とのコミュニケーションのあり方を見直すきっかけの提供
● ナレッジシェア促進
  属人化しがちな情報の蓄積・共有に向けたきっかけの提供
● 前向きな目標管理
  継続的改善のモチベーション維持・向上に役立つ目標管理の考え方の提供
● ITサービスごとのコスト最適化
  ITサービスごとの品質・コストの可視化によるコスト配分の判断材料の提供
● サービス品質の維持・向上
  上記の活動を継続することによる、サービス品質の維持・向上

<ITSMS認証を取得することから得られるもの>
● 第三者(認証機関)から国際規格に適合した活動が認証され、信頼できるITサービスが提供できることを外部に表明できる。
● 継続的な認証審査により、サービス品質の向上と維持を図ることができ、顧客の信頼と期待を高めていける。
● 認証が調達条件である引き合いに対応できる。
● ITサービス提供者におけるITサービスマネジメントシステムを関係組織が信頼することにつながる。


「運用管理のお手本ISO/IEC 20000 ~事例から学ぼう~ vol2 ITサービスマネジメント実践事例 編」(JIPDEC発行)では、ITSMS認証を取得した、次のような事例が紹介されています。
  ●グローバルマネジメントの実現
  ●QMS/ISMSとの統合マネジメント
  ●クラウドサービス事業者のITSMS 
  ●マネジメントシステムと経営の統合